地球規模での温室効果ガス(GHG)削減の流れの中、印刷業界でも改善作業が進んでいます。パッケージ印刷における「水性フレキソ印刷」が、どの程度GHGを排出するのかを改めて確認してみました。一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の監修のもと、LCA(ライフサイクルアセスメント)手法を用いて、水性フレキソ印刷を対象にライフサイクルにおける温室効果ガスの排出量を算出しました。

 その結果、水性フレキソ印刷で5,000mの印刷を実施すると約231kg-CO2eの排出量であることがわかりました。参考として、同量の印刷を油性グラビア印刷で実施した場合を想定し、「刷版製造プロセス」「インキ製造プロセス」「印刷プロセス」を算定範囲として計算すると、約65%削減できることも確認できました。

こちらが作成したサンプル包材です

算定条件

一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)より

  • 基材フィルムや製版プロセスは、水性フレキソ印刷と油性グラビア印刷において差異がないため算定対象外とした。
  • 5色仕様とした。
  • 刷版製造プロセスは、水性フレキソ印刷:水現像方式、油性グラビア印刷:電子彫刻方式とした。
  • 印刷プロセスにおける印刷機のユーティリティデータは、印刷条件や作業環境によって変動するため、機械のカタログ値を基に印刷条件から理論値として算出した。
  • 印刷速度は、水性フレキソ印刷:200m/min、油性グラビア印刷:150m/minとした。
  • 廃棄物の処理は実態に則して、水性フレキソ印刷:排水処理、油性グラビア印刷:焼却処理として算定した。
  • 水性フレキソ印刷における版のスリーブや、油性グラビア印刷におけるスチールシリンダーは、印刷機の部品とみなし、資本財として扱い算定対象外とした。
  • 校正プロセスは、算定対象外とした。
  • インキ製造の排出原単価は、印刷インキ工業連合会の公開値※1を使用した。
  • 中間財の輸送は500km、廃棄物の輸送は100kmを想定して計算した。
  • LCIデータベースIDEAv2.3※2を利用した。

※1 印刷インキ工業連合会が公開している「各種印刷キンキのCFP値」              ※2 LCIデータベースIDEA version2.3、国立研究開発法人産業技術総合研究所安全科学研究部門社会とLCA研究グループ、一般社団法人サステナブル経営推進機構